私たちの日常生活を支える給水・排水の配管設備は、見えないところで大きな役割を果たす重要なインフラです。
しかしこれらの配管設備はずっと使えるものではなく、寿命があります。
この記事では配管工事の耐用年数、必要性や種類、そして適切な工事の時期について詳しく解説していきます。
配管工事の耐用年数
給水管や排水管、ガスなどの配管は、一度設置すればずっと使い続けられるというものではありません。
法律によって耐用年数が決まっています。
法定耐用年数
給水管と排水管はともに建物の付属設備として分類され、その法定耐用年数は15年です。
この期間は減価償却の目安として設定されているため、実際の使用状況によっては、もっと長く使える場合もあります。
しかし安全性や機能性を保つためには、定期的な点検や必要に応じた更新が推奨されます。
実際には法定耐用年数より長く利用される
給排水管は法定の耐用年数を超えて使用されることが一般的であり、マンションの場合、築後25年から40年頃に、管の交換や修繕が行われることが多くあります。
また管の素材によって寿命は異なり、亜鉛メッキ鋼管はすぐにでも交換が必要です。
塩化ビニールライニング鋼管は約20年~25年、塩化ビニール管は約40年~60年、ポリエチレン管は30年~35年の寿命が見込まれます。
給排水管が劣化すると起こる4つの問題
次のような問題が起こったら、耐用年数内であっても配管工事の必要性を検討しましょう。
①亜鉛メッキが腐食する
亜鉛メッキの腐食によって白濁した水が流れ出ることがあり、これが健康問題や洗濯物の汚染などにつながります。
②給水管内部に錆が発生する
給水管の腐食により、黄色や赤色の水が出ることがあります。
また内部の錆が肥大化すると起こる現象は、水の流れが悪くなったり配管が詰まったりすることです。
③漏水が発生する
配管の亀裂や接続部からの漏水は、自宅だけでなく、階下の住民にも被害を及ぼすことがあります。
場合によっては住民間のトラブルの原因にもなる現象です。
④つまりが生じる
排水管の種類にもよりますが、特に問題となるのは「詰まり」です。
この問題は、油分を含む水を排出する台所、浴室、洗面所などの雑排水管で発生しやすい傾向があります。
配管工事の種類は2つ
配管工事について理解することで、自宅や建物の状況に適した方法を選択することができます。
ここでは配管工事の主な2つの種類である「更新工事」「更生工事」について解説します。
①更新工事
更新工事は、古くなった給水管や排水管を新しいものに取り替える工事です。
劣化した管を完全に取り除き、新しい管を設置することで、配管システムの機能を回復させます。
この工事により、給水管や排水管に関連する問題のリスクが大幅に減少し、次の15~20年間は安心して使用できるようになります。
しかし更新工事は床や壁を削るなど、大掛かりな作業を伴います。
そのため工事期間が長くなり、費用も高額になりがちです。
さらに工事中に騒音や振動、ほこりが発生するなどの不便を伴います。
それでも長期間にわたって安心して使えるようになるため、多くの場合でこの方法が選ばれます。
②更生工事
更生工事は、既存の給水管や排水管をそのまま利用しつつ、内部を洗浄し特殊な樹脂でコーティングすることで、管の耐久性を高める工事です。
「ライニング」とも呼ばれ、管の内部に新しい層を作り出すことで錆や汚れの発生を予防するのです。
更新工事と比較して、更生工事は工期が短く、費用も比較的低価格で済むというメリットがあります。
また施工時に発生する騒音や振動、ほこりも少ないため、日常生活への影響が少なめです。幅広い現場に対応可能で、さまざまな状況で選択肢となります。
ただし、更生工事はあくまで既存の管の延命措置であり、管自体の劣化が進んでいる場合には適用できないこともあります。
そのため、工事前の詳細な調査が必要です。
また管の状態によっては、更生工事後にも関わらず短期間で再度問題が発生し、最終的には更新工事が必要になることもあると知っておきましょう。
おわりに
給排水の配管は、私たちが快適で衛生的な生活を送るために欠かせないものです。
水道から飲める水が出たり、使った水がすみやかに流れ去ったりするのは、給排水の設備がきちんと働いているからです。
給水管や排水管の耐用年数は法律で15年と定められていますが、実際にはこれを超えて使用されることが多くあります。
管の素材によって寿命が異なり、亜鉛メッキ鋼管は早期の交換が必要です。
また他の材質では、20年~60年程度の寿命があります。
配管が劣化すると水の汚染や漏水、詰まりなどの問題が生じるため、定期的な点検や必要に応じた工事が重要です。
配管工事には「更新工事」と「更生工事」の2種類があります。
更新工事は古い管を新しいものに取り替える工事で、15~20年間は安心して使用できるようになりますが、工事には時間とコストがかかります。
一方の更生工事は既存の管を内部から洗浄し、特殊な樹脂でコーティングすることで耐久性を高める工事です。
工期が短く費用も低価格で済みますが、あくまで延命措置であり、劣化が進んでいる場合には適用できないこともあります。
どちらの工事を選択するかは、建物の状況や予算、生活への影響などを総合的に考慮して決定しましょう。